「 」
木肌に、草の葉に、花びらに、触れたくなる。
きっと、“そう” だったときがあるんだろう。
風に、星に、光に、触れたくなる。
きっと、“そう” であるときがあるんだろう。
彼に、彼女に、あなたに、わたしに、触れたくなる。
きっと、“そう” なのだろう。
見たい。聞きたい。嗅ぎたい。
味わいたい。触れたい。感じたい。
すべて、“そう” なのだろう。
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「ひと、ヒト、人」
神様はわたしたちに
生きるための総てをお与えになりました。
緑茂る山々では、木々が囁き、命たちが戯れ、
光輝く海原では、海藻がたゆたい、命たちが戯れ、
笑顔あふれる里山では、人々が自然の恵みに感謝し、
あらゆる生き物たちと助け合いながら
一日一日を過ごしていました。
しかしわたしたちはこの数百年の間に
失ってしまいました。
緑茂る山々を。
光輝く海原を。
笑顔溢れる里山を。
そして、なによりも尊く、かけがえのない、
地球を慈しむ “こころ” を。
母なる大地の声が聴こえない動物なんて
居るのでしょうか。要るのでしょうか。
わたしたちは一体、
ナニになってしまったのでしょうか。
もう手遅れなのではないでしょうか。
もう滅びるしかないのではないでしょうか。
あなたは、動物として生きますか?
それとも、人間として生きますか?
選択の時は、“今” なのです。
「山が海に恋をしました。」
山が海に恋をしました。
山は、木々を動物たちを豊かにし、
毎日毎日 綺麗な水を海に贈ります。
海は喜び、魚や貝たちが潤い、
山はその笑顔を見て、
また贈りものをするのです。
会ったことも話したこともない、
それでも繋がっていて、
お互いがなくてはならない存在で。
山と海の愛の中で イノチたちは、
生まれ、巡り、踊る。
総ては、山の恋から始まったのです。
「アイ」
草木が命を育んでくれることも、
虹が笑顔を産んでくれることも、
天災が命を奪うことも、
毒が身体を蝕むことも、
総てが「愛」なのだとしたら、
わたしは「愛」をこれっぽっちも、
わかってなかった。
「かわいい子には旅をさせよ」
かわいいかわいい人間。
目に入れても痛くないほど愛おしい、
わたしの息子たち、娘たちよ。
わたしの元で、多くを経験しなさい。
喜びに胸を躍らせ、
悲しみに頬を濡らし、
怒りに身体を震わせ、
感謝で心を満たしなさい。
わたしの総てをあなたたちに与え、
わたしの総てをあなたたちに任せましょう。
総て、あなたたちの想うままに。
「うまれたわけ」
✳︎
約束のカケラを、
ひとつずつ、丁寧に拾い集める。
あなたと出逢うことも、
あなたを感じることも、
あなたと別れることでさえ、
遠い昔の約束どおり。
わたしがわたしで在るために、
あなたがあなたで在るために、
すべてを決めてやってきた。
✳︎
記憶のカケラを、
ひとつずつ、丁寧に拾い集める。
この言葉を聞くことも、
この笑顔を見ることも、
この匂いを嗅ぐことも、
この空気を味わうことも、
この体温を感じることでさえ、
遠い未来の記憶どおり。
わたしがわたしで在るために、
あなたがあなたで在るために、
すべてを忘れてやってきた。
✳︎
そんな、人生っていう、旅。
✳︎✳︎
笑って、泣いて、怒って、また笑って。
空っぽの両手を、あなたとのたくさんのお土産で
いっぱいにする、永い永い旅。